怪談百物語と言うと、まず、霊的な怖い話を思い浮かべるかもしれません。
ですが、私は必ずしもそうした怪異に限った話である必要は無いと思っています。
人為的に恐怖感を感じるもの、科学が発達してなお純粋に不思議な話でも一向に構わないし、関連する薀蓄(うんちく)を語っても良いでしょう。
人によって怖いと思うポイントは違うと思うのです。
強いて言えば、広義に怖い話に属する話───怪談を百話続け、その独特の雰囲気に心を委ねていただければ良いということが私の信条です。
それを踏まえたうえでこの百物語に「参加」して頂きたいと思います。
前置きが長くなりました。
では、私の怪談を始める際の枕詞を以て始めさせて頂きましょう。
「春と言えば桜。桜と言えば根元に死体」
「夏と言えば天下御免の霊の季節」
「秋と言えばお盆。お盆といえばご先祖様の霊」
「冬と言えば霊的な磁場が安定する季節」
「つまり・・・怪談の季節なのですよ」
一の語りに続く
2010/06/17 初版
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