さて、ついに「学校の七不思議」の定番中の定番と言えるこちらのお話を・・・。
◆ ◇ ◆
この学校には定番の七不思議ばかりが揃っている。
理科室には「生きている人体模型」、
音楽室には「誰もいないのにひとりでに鳴るピアノ」、
美術室には「目が動く人物画」があり、
図書室には「白い人影が浮き出ている柱」がある。
体育館には「無人の体育館に響くバスケットボールの音」の話、
階段には「ある時間になると13段になる階段」───といった具合だ。
そして最後の一つ。
トイレには「花子さん」がいる───。
うちに伝わる花子さんの話はこうだ。
午後3:33に、個室の3番目の扉を、
コンコンコンと3回ノックすることを、3回繰り返す。
そして「はーなーこーさーん。あーそびましょー」と言う。
すると───か細い声で「はーい」と返事があるのだという。
そこまではよかった。
よくある七不思議だ。
だが───。
実際に返事があったとき、どうすればいいのだろう?
その場に居合わせた皆は、パニックになってバラバラに逃げた。
自分と同じようにどこかに隠れているのだろうか・・・。
アレは「かくれんぼ」か「鬼ごっこ」のつもりなのだろうか・・・。
今も少しずつ、何かの気配が近づいているのが分かる───。
アレがよくある七不思議の花子さんと同じなのかはわからない。
だけど───うちの学校のトイレには花子さんがいる・・・。
◆ ◇ ◆
・・・という、お話。
その名の通り、学校の七不思議の花形と言っても差し支えないでしょう。
ただ、最近だとあまりに定番過ぎて、逆に語られなくなっているような気もします。
現実的に見た場合、噂としてはあまりに怪異過ぎるのかもしれません。
日常の中で偶然出会ってもおかしくない話のほうが、身近にある七不思議として信憑性が感じられる時代の流れではあります。
さて、花子さんの呼び出し方ですが、大体次の通りの組み合わせからなっていると思われます。
まず最初に「時間指定」があったりなかったりします。
次に「扉の何番目を叩くか」と「叩く回数」があり、合わせて「男子トイレ」か「女子トイレ」かという指定が見られます。
ここで一つ疑問がでます。
あまりに「花子さん」というキャラクター付けが為されているためか忘れがちですが、花子さんは「こっくりさん」などと同じく何かを召喚する方法ということです。
それにしては大概の話は呼ぶだけで、帰っていただく方法が全然出てきません。
たまにある帰っていただく方法は、まず他の召喚の話の派生系であり、本来のものではなさそうです。
花子さんの話の派生系に、呼んでから遊ぶまでを一連としているものもあります。
その場合、かくれんぼか鬼ごっこであることが多いのですが、見つかる・捕まるとどこかに連れてかれてしまうという終わりになっています。
いわゆる神隠しや生贄としての側面を考えると、元祖のお話に近いのかもしれません。
では、これにて十一の語り「学校の七不思議・花子さん」了。
十二の語りに続く
2010/08/02 初版
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