数字が全てか・・・。
プロダクションの幸せが数字なら、商品と呼ばれてしまう彼女達の幸せはなんだ?
私は分かっているはずだ。
地図はある。
だが、行ったことはない。
おそらくは、そういうものだろう。
何の為にオンボロ雑居ビルに居続けている?
数字を失っても、あの娘達の幸せそうな顔が見たい。
本気でそう思う。
だが、経営者はとかく雑念に悩まされるものだ。
企業体力がなくなれば解散、最悪の場合には倒産する。
収益を度外視することなどとてもできない。
誰か任せられる者がいれば、誰か夢を託せる者がいれば・・・。
マネージャーとしての管理力、付き人としての距離、プロデューサーとしての構成力。
これまでにないスタイルならどんな希望を持っている娘もプロデュース出来るだろうか。
いや、して欲しい。
アイドルのマスターとして立つなら、商品の人生までプロデュースしてみせろ!
いや・・・それも分かっている。
不可能を求めているのだ。
・・・
この日、いつも陽の光を背に立つ男と、いつも視線の先に女の子がいる男の2人が出会った。
・・・
『アイドルとの出会い』
【社長】
「あ、ティーンと来た。どうだね、我がプロダクションで働いてみる気はないかね?」
雑居ビルの入り口で、窓拭きをしていた女の子が気になり、スカートの中をボンヤリ見つめていた時、色黒で恰幅の良い男性に声をかけられた。
ただでさえ色黒なのに、逆光で真っ黒にしか見えない。
【P】
「なんですか?」
【社長】
「うちの事務所のアイドルをプロデュースしてくれる人材を募集しているのだが、なかなかティーンと来る人材がいなくてね。君が見ていた女の子もうちの子なんだ。あまりに真剣に見つめているので、これは! と思って声をかけたわけなのだよ」
【P】
「アイドルのプロデュース・・・お話しを聞かせてもらえませんか」
【社長】
「いいとも。付いて来たまえ」
事務所に通されると、事務員と思われる制服を着た女の人が、オレにコーヒーを出してくれる。
【女の人】
「ふふっ。また社長のティーン♪ が出たんですね」
オレより少し上か、同じくらいか。
・・・やっぱり上だな。
こんなお姉さんになら叱られてみたいと思えるくらい美人な方です。
【小鳥】
「私は音無小鳥と言います。これでも一応、プロデューサー兼事務を担当しているんです。何か分からないことがあったら、遠慮なく聞いて下さいね」
Oh!
小鳥がさえずるような綺麗な声。
優しげな瞳。
たおやかな笑顔。
「これでも一応」なんて付け加えるあたり、ご自分がアイドルそこのけの存在だって知ってますね、お姉さん。
何でも聞けって言われたら、んなもんは1つでしょう。
スリーサイズを教えて下さい!
・・・とは言えませんでした。
いきなりクビになったらシャレにならないからです。
お給料の振込日だとか、有給休暇についてだとか、オレにとってはどうでもいい事の説明をしてもらいました。
まあ、生きるためには必要ですけどね。
そこへ小太りの男が入ってきました。
なんだ、この黒縁メガネは・・・。
【冬本P】
「はいはいはいはい、お邪魔〜。あれ? ことりん、新入りちゃん入ったの? それとも573さんも男性アイドルを売り出そうって話で・・・って、こたぁないか。この顔だと、お笑い部門設立?」
うるせーよ、この野郎!
お前だってアシュラマンの泣いてるお面みたいな顔じゃねーか。
おっと、ついたぎってしまいました。
【小鳥】
「冬本さん、おはようございます。社長が気に入っちゃって、ウチの事務所専属のプロデューサーとして働いてもらう事になったんですよ」
【P】
「あ、どうも。初めまして。よろしくお願いします」
【冬本P】
「こちよろちゃん」
すげぇ・・・本物の業界人を初めて見ました。
「ことよろ」「あけおめ」でさえ口で言う人と会ったことなかったのに、いきなり「こちらこそよろしく」を短縮して、さらにチャン付け。
恐ろしい世界ですよ。
【冬本P】
「ボクはフリーのプロデューサーやってる冬本って言うんだ。573さんでは天海春香ちゃんの仕事をお手伝いさせてもらってるくらいかな。知ってるよね、天海ちゃん。はるるん。テンパル」
はるるんとテンパルはまったく知らないけど、天海春香さんは知ってますとも。
こんな無表情のクセによくしゃべる男がプロデュースしてたのか・・・。
【P】
「あのトップアイドルのプロデューサーさんだったんですか」
【冬本P】
「まあね。ボクの場合は他の事務所の子たちも見てるから、かかりきりってわけにはいかないんだけどね。トップアイドルとはいかないけど、春香ちゃんはイイ線いってるよ。数字に繋げやすいもの。それにここの社長に頼まれると断れなくてね」
むひょひょと不気味に笑っています。
社長の事はなんとなく分かりますけどね。
熱意が伝わってくるんですよ。
不思議な人です。
【小鳥】
「なかなか芽が出なかった春香ちゃんを、あっという間に有名にしてくれたのは冬本さんなんですよ」
【冬本P】
「いやーいやー、それほどでもあるんだけどね。春香ちゃんには固定ファンもいたんだけど大胆に路線変更させたからね。いかにライトなファンから広く数字を稼ぐのか、この見極めは我ながらGJといわざるをえんね」
【P】
「・・・(GJっておま・・・)」
ファンは数字。
ちょっとだけだったけど、その言葉に、ほんの少し小鳥さんの表情が曇ったと思ったのはオレの思い過ごしでしょうか。
【冬本P】
「ただね。ソロだと、どうしても取りこぼしがでるんだよね。時代はユニット、団体戦なのよ。春香ちゃんの数字に千早ちゃんの歌唱力のポテンシャルの高さ、雪歩ちゃんの可愛さと護ってあげたさが加われば、と思うんだよね。ボクのフルプロデュースしてるJPN84に匹敵するような・・・」
ゲ!
今や国民的アイドルグループもこの人だったとは!
これは驚きですよ。
一目、見たときからタダモノではないと思ってはいましたが。
【冬本P】
「あの3人組ならイイ数字出るよ。573エンジェルス、どうよ? イイでしょ? ここらでミリオン狙ってもいいでしょー」
【小鳥】
「ありがたいですね。冬本さんにお任せできたら、千早ちゃんや雪歩ちゃんも一気にスターダムに登りつめますね」
【冬本P】
「こればっかりはタイミングもあるからね。ビッグタイトルとかぶったら潰れちゃうし、いいCM枠はJPN84があらかた押さえちゃってるから、自分が大きなライバルになっちゃった」
【小鳥】
「さすがですね」
【冬本P】
「あ、その笑顔キテるね〜。どお? ことりんも歌出しちゃう? ボク、イイ感じの詩書いちゃうよ」
【小鳥】
「またまた、冗談はやめて下さいよ」
【冬本P】
「ことりんなら、ウチの渡り廊下爆破隊のセンターでもイイくらいだよ。『ホワイトデー・キッス』歌っちゃう?」
満面の笑み&「何言ってんだよおめーはよ」みたいな雰囲気で、軽くいなしている小鳥さんの後ろから社長が入ってきました。
電灯をバックにして、顔が真っ黒に見えます。
【社長】
「お、どうりで賑やかだと思ったら冬本君も来とるのかね。ちょうど良かったよ。春香くんのツアーについて相談があったんだ。先方とコンセンサスが取れてなかったらしいんだよ。音無君もちょっと会議室までいいかね?」
【冬本P】
「ホイホイ、了解」
【小鳥】
「はい、社長」
【社長】
「ちょっと悪いが、君はもう少し応接室で待っていてくれたまえ。こっちの打ち合わせが終わったら、君とやよい君の活動についても話しておきたいことがあるんだ」
そう言って、社長さん、小鳥さん、冬本Pは出て行ってしまいました。
セキュリティはだいじょうぶですか、ここ?
オレ、さっき表で拾われてきた、100%関係者以外なんですけど。
それにしても、アイドルのプロダクション事務所って言ったら、もっと大きくてテレビ局か六本木ヒルズかって所だと勝手に想像してたんですけど、思ったより普通の雑居ビルでした。
ってか、正直ボロいです。
そんなどうでもいいことは置いとくとして・・・さっき見てた女の子はやよいちゃんって言うらしいです。
カワイイ子だったなぁ♪
純白パンツもポイント高いです。
やる事もなくぼーっとしていると、またまた応接室のドアがノックされました。
【P】
「はいはーい。どうぞ」
別にオレの部屋でもないけどね。
【美希】
「お邪魔しますなの」
おあ!
ビビっとキターーー!
ティーンなんてもんじゃないです。
背中に電流が流れました。
まぶしいです!
さっきのやよいちゃんが純白なら、この子からは光り輝くオーラが全身から溢れ出しています。
金髪だし。
【美希】
「ねえ、あなたが新しいプロデューサーさん?」
【P】
「そ、そうだけど」
【美希】
「ふーん」
なんだ、このスゲー可愛い子は?
さっきの窓拭きの子も目茶苦茶、可愛いかったけれど、これはちょっと別次元の世界ですよ。
なるほど、外見がどんなにボロくてもここはアイドル事務所なんだって思い知らされました。
しかし、この溢れ出るフェロモンはなんだ!
幼くあどけないのに、たまらんもんがある!!
エロい、エロ過ぎる!
いくつなんでしょ?
【美希】
「・・・14歳だよ」
ぐはぁ!
知りたいのは年齢ではなーい。
オレが関心のある数字と言ったらスリーサイズ以外ないのでござる。
でも14歳だとしたら、少々バインバイン過ぎじゃありませんか!
けしからん、実にけしからんサイズですよ。
触りたい事、たわわに実る果実が如し・・・。
【美希】
「うん。ミキ、胸ならおっきいよ〜」
そーでしょうとも、そーでしょうとも。
美希ちゃんとやら、おっきい事は良い事です。
ロリコン気味でつるぺた好きだったオレを、一発いや、二発で宗旨変えさせるその破壊力たるや、おそるべしです。
美希ちゃんとかいう金髪アメリカ娘に万歳三唱ですとも!
冬本P言うところの、パツキンのリカアメちゃんねーにザイバンしょーさんって感じーなわけです。
【美希】
「んー、確かにステイツには小さい頃に住んでいたけど・・・。髪の毛は染めてるだけなの」
ほほう、帰国子女ですな。
ステイツっておま!
メリケンを指して合衆国なんてなかなか言わないですよ。
パイオツカイデーな14歳にもなるとさすがです。
胸もおっきいですが、太ももだって美味しそうです。
その美味しそうな太ももをペロペロしたいです。
果てしなくキボンヌ!
太ももをペロペロしたい事、エサを目前にした子犬の如し・・・。
【美希】
「・・・?」
気がつかれないようにチラ見していると、美希ちゃんは突然スカートの裾を持ち上げ始めるじゃありませんかっ!
うぉーっ、なんだこの神展開は。
どこのエロゲーですか?
やばい!
やばいです。
ダメです!
パンツが見えちゃいます!
・・・って、見たいけど。
【美希】
「やだぁ、ぱんつは見せてあげないの」
【P】
「・・・あはは、当たり前だよね」
【美希】
「えへへ。でもね、太ももくらいならいいかなーって。見たいんでしょ?」
何を言い出すんでしょうか、この子は。
見たいに決まっています!
ぱんつ見たい事、ぱんつ見たい人の如し・・・。
・・・はっ!
冷静になれオレ。
あまりの嬉しすぎ展開にむしろ急に不安が湧いて来ました。
学生時代に女の子から告白されたけど、それが罰ゲームだったらしいわけで・・・。
真に受けてほいほい校舎裏に行ったオレは、クラス中の笑い者にされたのです。
ビターな経験がフラッシュバックしてまいりました。
バレンタインに「これ、食べてね」ってニッコリと手渡されたのはホチキスの針だったし、女子の調理実習後にたまにもらえたのは黒こげの失敗作ばかり・・・。
これはドッキリに違いありません。
オレがこの女の子に手を出してしまうかどうか、テストされているんですね!?
さすがは芸能プロ、やる事がエグイです。
この応接室に隠しカメラがあって、会議室で社長や冬本Pや小鳥さんが見張っているとかアリガチです。
いやいや、最悪、おっかないお兄さんに囲まれて身ぐるみ剥がされた上に、山奥に連れて行かれて穴を掘って埋められるとか。
いやいやいや、これから高額の印鑑や謎の置物を買わされるかも。
【美希】
「・・・考え過ぎなの」
ちょっと待て。
今、もっと恐ろしい事に気が付いてしまったぞおお!
オレ、この子に何にも喋ってねーぞ。
喋ってないのに、何でオレの考えている事に答えてるんだ?
オレのインテリジェンス溢れるモノローグに相づち打つってどういう事だああああ。
・・・よし、試してみるか。
“美希ちゃんの靴下が欲しいなぁ。超欲しい。って言うか、脱ぎたてを下さい”
【美希】
「えー?」
美希ちゃんは真っ赤になりながらも、ソファーに座ると、靴下を脱いでオレに手渡してきました。
【美希】
「何に使うの?」
そりゃもう、あんな事やこんな事に使わせてもらいます。
【美希】
「はふぅ、刺激が強すぎなの」
ソファーに倒れ込んでしまった美希ちゃんに、応接室の留守番を頼んで、とりあえずお手洗いをお借り致しました。
美希ちゃんのためにも、冷静になる必要があったのです。
別にしっかりポケットにしまい込んだ靴下でアレコレしたわけではございません。
刺激が強い、と確かに言ってました。
と言うことは・・・オレの考えが分かったって事ですよ!?
オレ的にスペシャルな靴下の使い方は、14歳の女の子にはワンダーランドに違いありません。
一体、あの娘は・・・。
とりあえず、応接室に戻る事にしまうか。
【P】
「ただいま」
【美希】
「・・・おかえりなの」
まだほっぺがほんのり赤いです。
こういう美希ちゃんも可愛くてたまりません。
【美希】
「ありがとうなの」
【P】
「やっぱり、人が考えている事がわかっちゃうんだ」
【美希】
「こんなに全部わかっちゃうのは初めてだけど。なんとなくだったらわかるよ」
【P】
「その能力って、誰かに話した事ある?」
【美希】
「ちっちゃい頃になら。でも、誰も信じてくれなかったの・・・気持ち悪いって思われて」
そりゃそうでしょう。
いきなり信じろって言われて信じられるもんじゃありません。
それに、誰だって心の中を覗かれたら困ります。
オレみたいな清廉潔白なジェントルメンならまだしも、そこらの小僧ならさっきの美希ちゃんの靴下でそりゃあムフフな事を・・・。
【美希】
「ストップなの! 男の人がそういう気持ちになるのはわかるけど、プロデューサーさんのはストレート過ぎるの」
【P】
「ご、ごめん」
さっきよりもハイパーな妄想がモロに伝わってしまいました。
【美希】
「ミキ、そういう目で見られるのは慣れているけど・・・やっぱり恥ずかしいの」
真面目な話、たぶん、あの能力のせいですごくイヤな思いをしているんだと思います。
オレなら周りの人がちょっと思ったことを片っ端から受信してたら、ひきこもりになってしまいますよ。
い、いかん!
美希ちゃんの苦労を想像してたら、泣きそうな気持ちになってしまった。
【美希】
「苦労かぁ・・・ミキね、どっちかって言うと女の人のほうが苦手かなぁ。やっぱり敵意って心に刺さっちゃうから」
【P】
「男のエロ視線なんて単純なもんなんだね。それに比べたら芸能界はライバルも多いだろうし・・・」
【美希】
「うん、そうなの」
さすがに靴の中に画鋲を入れるようなオーソドックスな嫌がらせなんかはないだろうけど、あいつさえいなければ! みたいな気持ちはグサっと刺さってくるんでしょう。
こんなに可愛けりゃ、余計に。
【P】
「美希ちゃんの能力については分かった。オレは信じる・・・っていうかここまではっきり見てしまったら否定のしようもないしね。それで、オレに何か用かな。新しいプロデューサー? って言ってたよね」
【美希】
「そうだったの! ミキね、プロデューサーさんがまだ担当する子を決めてないなら、ミキを選んでもらおうと思ったの」
な!?
急展開ですよ。
プロデューサー歴14分37秒のオレにプロデュースしてくれと言ってくれるアイドルがいるとはー!
【P】
「・・・何でオレなの?」
【美希】
「ミキの事を分かってもらえるって思ったから。ミキの言う事を信じてくれるって思ったから。初めてだったの・・・この人なら、この人だけはミキの事を理解してくれるって思えたの」
真剣な瞳がまっすぐにオレを見ています。
活力に溢れるアイドルオーラを出しながらも、少し不安を帯びた瞳。
それでいて、求め続けていたものを見つけたような輝きを放つ瞳。
世界中の海を旅して、やっとの事で宝物を見つけた海賊もこういう目をするんでしょう、きっと。
美しい・・・。
オレにプロデューサーとしての能力があるかは分からないけれど、この子と、美希ちゃんとならどんな困難でも乗り越えて行ける気がします。
これだけ真剣な気持ちになったのは、生まれてから3回目くらいです。
何より、美希ちゃんを守ってあげたいです!
だってひどいじゃないですか!!
容姿もスタイルもある程度は彼女が磨いてきたものでしょう。
よく知らないけど、歌やダンスも彼女が努力して手に入れるものでしょう。
でも、あの能力は彼女が望んで手に入れたものじゃない。
そんなんで苦労する必要なんかないですよ!
オレは・・・。
オレは美希を守りたいっ!
【美希】
「!」
彼女の瞳は大きく開かれて、もう輝きMAXです。
【美希】
「やっぱりプロデューサーさんはミキが思った通りの・・・」
美希ちゃんがそう言いかけた時、応接室のドアがノックされて勢いよく開かれました。
【?】
「うっうー、おまたせしましたーっ♪」
入って来たのは、事務所の入り口を掃除していた女の子、やよいちゃん。
【美希】
「あっ・・・」
【やよい】
「すいませんれぅ。お掃除を全部、終わらせて来たので時間がかかっちゃいました」
【P】
「やよいちゃん・・・」
【やよい】
「はいっ、プロデューサーさん。社長に聞いたのですが、本当に私がデビューできるんですね♪ うれしいれぅ!」
一瞬だけ。
ほんの一瞬だけだったけれど、美希ちゃんの気持ちがオレの中に入ってきました。
不思議な感覚。
“出会うのが、少しだけ遅かったみたいなの・・・”
【P】
「あの・・・やよいちゃん、美希ちゃん」
【美希】
「よかったね、やよい。デビューは先を越されちゃったみたいだけど、ミキもきっとすぐ追いつくの」
【やよい】
「はいっ! ありがとうございますっ♪ 美希さんも一緒にガンバリましょー!」
“でもね・・・トップは一人だけなんだよ、やよい”
無理やり笑顔を作っているように見える、美希ちゃんの心から声が聞こえてきた気が・・・。
何か話しをしようと頭をフル回転させていたら、突然、ドアが開きました。
【社長】
「おお、君。待たせて悪かったね。おっ! 美希くんにやよいくんも来ていたのかね。ちょうど良かった。今、音無くんと美希くんのデビューについて話が出ていたんだ。我が573プロも活気づくよ。わっはっは!」
【小鳥】
「忙しくなりますね」
愉快そうに大笑いする社長と、傍らでほほえむ小鳥さん。
元気いっぱいのやよいちゃんと、控えめに喜んでいる美希ちゃん。
この日から、オレとやよいちゃんのアイドルとプロデューサーとしての活動が始まったのです。
14話に続く
2011/04/28 初版
2011/08/02 第二版
2011/09/04 『にじファン』に転載
→『にじファン』サービス終了(2012/07)
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