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やよマス 13話後編
匿名希望P

【P】
 「ほーら見てごらん。極太フライドポテトだよ・・・美味しそうだろう?」

【やよい】
 「あむ・・・はふ・・・うっう〜、プロデューサーさんのジネンジョ・・・ぷはぁ・・・とっても太くてぇ・・・長いれぅ」

【P】
 「ひっひっひ、やよたんがかあいいから、こんなに育ったんだよ。ほ〜れほ〜れ、さ、美味しいトロロ汁をご馳走してあげようねえ」

【やよい】
 「ああん、うれしいれぅ♪」


 な〜〜〜〜〜んちゃって!
 てへっ♪

 後部座席ではやよいちゃんと真美ちゃんが、美味しそうにフライドポテトをパクついております。
 ポテトは揚げたてに限ります。

 もぐもぐやったり、たまに指についた塩だの油だのをペロっと舐めたりしている2人は気になって、運転に集中できませぬ。
 車の中はイモの香りが満ちておりますが、おいらの頭の中はイケナイ妄想が充ち満ちておりますYO!

 だって仕方ないじゃん!
 やよたんってば、満面の笑みでイモを咥えているんだもの。

 どうせ頬張るならおいらのイモをっ。
 マイ・ポテイトゥをおおお!


【真美】
 「ねえねえ、兄ちゃん」


 ハッ!?
 真美ちゃんがジト目でおいらを見ています。
 ルームミラー越しに突き刺さるような視線がたまりません。
 ごちそうさまですっ♪(←ダメ人間まっしぐら

 おっと、ついたぎっちまいましたよ。
 申し訳ございません。
 元はと言えば、真美ちゃんに『ハプニング梅山の全裸でやるラジオ』の件をやよいちゃんに話さないでもらうという、ナイショの約束でポテトをご馳走したのでした。

 話さねぇでけろ〜〜。
 おねげえですだ〜〜〜。

 ・・・ん?

 真美ちゃんのノリが違うというか、何か違います。


【P】
 「何かな?」

【真美】
 「真美、本当にデビューするんだね」


 アホな妄想に浸っている場合ではないようです。
 レコード会社のスタッフさんやテレビ局の関係者に挨拶をして回っているうちに実感が沸いてきたんでしょうか。
 クリエイターさん達のパワーや、人のポテンシャルを見抜く目は常人離れしたものがありますから、プレッシャーを感じたのかもしれません。


【やよい】
 「あれ? 真美ちゃんは私がデビューする前からお仕事してたよね?」

【真美】
 「うっ・・・まあ、そうなんだけどね」


 うーむ、何を悩んでいるのかちょっと分かりません。
 年齢はやよいちゃんより下ですが、芸歴は半年以上、真美ちゃんの方が長いはず。
 仕事上のトラブルやミスも、真美ちゃんはほとんどないと聞いています。
 律っちゃんPも、亜美ちゃんより真美ちゃんのプロモーションの方が安心できると言っていました。
 あの野郎は色気がないだけに、こういう事はズバズバと言います。
 コーラを噴いて救急車騒ぎを起こしたのも亜美ちゃんだったはずですし、他に何か心配事があるんでしょうか。


【P】
 「社長にも、真美ちゃんのご両親にも許可はもらってるから大丈夫だよ?」

【真美】
 「うん・・・」

【P】
 「それに今までだって仕事はしてたじゃないか、営業はそんなに変わらな・・・」

【真美】
 「あれは亜美としてやってた仕事だったから・・・やっぱり不安はあるよ」

【やよい】
 「そっか! 真美ちゃんは亜美ちゃんとしてやってきた仕事の話をしちゃいけないんだ」

【P】
 「まぁ・・・基本的にはそういうことになるなぁ」

【やよい】
 「うっうー、それって頭が混乱しちゃいます」


 確かにややこしいですよ、これは。
 仕事と生活が一致しているやよいちゃんは、学校でも家でも仕事でもずっと普段の高槻やよいのままでいられたわけです。
 てか、ふつーは皆そうしているはずです。

 亜美ちゃんのプロデュースをしている律っちゃんPとも相談した事ですが、今まで二人一役を演じてきたのは公表しない事にしたのです。
 その方がファン達の夢も壊さないですみますし。

 もっとも、トップシークレットというわけではないので、知っている人は知っている公然の秘密というやつです。


【真美】
 「この前まで現場では『亜美ちゃん』って言われて仕事してきたんだもん」

【P】
 「それも大丈夫だよ」

【真美】
 「え、何で?」

【P】
 「間違えたっていいじゃないか」

【真美】
 「でも・・・」

【P】
 「最初はどれだけ失敗してもいいって」

【やよい】
 「プロデューサーさんは怒ったりしないれぅ♪」

【真美】
 「それは何となくわかるけど・・・」

【P】
 「何だったら『亜美』として仕事をしていたことをバラしてもいいぞ」

【真美】
 「えっ!?」

【P】
 「バラエティ番組で“で、亜美ちゃんの代わりをやってたんでしょ?”とか聞かれたら“教えないよー”くらいがいいと思ってたんだが・・・」

【やよい】
 「う〜〜ん、“たまにやってましたあ♪”とかはどうですか?」

【P】
 「おっ、それも可愛くていいね」


 やよたんがノってきてくれました。
 元々、トークが苦手で、何を話していいか分からないと悩んでいた時にやよたんと始めたラフトークです。
 こうやっていろいろアイデアを出しておいても、それ以外の角度からツッコまれればおしまいなわけですが、意外にリラックスしてくれたりもします。


【やよい】
 「番組のMCさんの代わりもたまにやってます、あはっ♪」

【P】
 「ADさんの代わりもよくやってます、てへっ♪」

【やよい】
 「ンフトバソクのおとーさんも真美がやってます!」

【P】
 「JPN84は全員わたしですYO!」

【真美】
 「あはは・・・いつもそうやって練ってるの?」

【やよい】
 「たまに番組の受け答えをこうやってリハーサルしてくれるんれぅ♪」


 やっと真美ちゃんが微笑んでくれました。
 とは言え、かなり深刻そうです。
 人前に出ることは平気なハズなのに・・・?


【P】
 「双海真美はこれからスタートなんだ」

【やよい】
 「そうですよ、一緒にガンバって行きましょう!」

【真美】
 「う・・・ん・・・」


 まだ不安そうな顔をしてるな・・・。


【P】
 「・・・」


 フザケる場合ではなかったんだ・・・。
 何か抱えてる。

 どうすればいいんだろう?
 何か安心させてあげられる言葉はないだろうか。
 所詮、プロデュースなんて素人なんだ。

 最近、始めたんだし・・・トップアイドルを作り上げるような器じゃないし、モノじゃないんだから“作る”って言葉に嫌な響きも感じる。
 そういう意味でも、まだまだ素人なんだと思う。


【P】
 「オレには冬本さんのようなプロデュース能力もないし、作詞や作曲の経験があるわけじゃない」

【真美】
 「兄ちゃん?」

【P】
 「律っちゃんPのようにアイドルとして舞台に立って歌ったこともない」

【やよい】
 「・・・」

【P】
 「小鳥さんほどスケジュールが完璧でもないし、社長ほど真っ黒・・・いや、芸能界を知ってるわけでもない」

【真美】
 「兄ちゃん! それじゃ何も残ってな・・・」

【やよい】
 「し〜〜〜。だいじょぶれぅ」

【真美】
 「だって、独り言ぶつぶつ言ってるだけで、目も据わってるよ!?」

【やよい】
 「プロデューサーさんが敬語じゃない時はゼッタイにだいじょぶ♪」

【真美】
 「え?」

【やよい】
 「今ね、頭の中がちゃんぽんになってるのを整理してるの、たぶん」


 ・・・。

 そっか・・・オレは考えてる時って、黙りこくってたのか。
 今まで気付かなかったけど、やよいちゃんはちゃんと考えさせてくれてたんだな。


【やよい】
 「また独り言を言いながら帰ってくるから」

【真美】
 「どこかに行っちゃってるんだ?」

【やよい】
 「何があっても一番のファンでいてくれるの。だから安心していいのれぅ♪」


 2人の会話はぜんぜん頭に入って来ない。
 でも、やよいちゃんが真美ちゃんに説明してくれてるなら安心か。

 やよいちゃんはオレを安心させてくれた。
 それじゃ、オレはやよいちゃんと真美ちゃんに何が出来る?

 事務所の窓ガラスを拭いているやよいちゃんを一目見た時、なんて一生懸命に窓を拭いているんだろうと驚いた。
 決して高級とも高層ともいえない雑居ビルにも関わらず、573プロの事務所は輝いていた。
 彼女は窓ガラスと共に、自分まで磨き上げてるようだった。
 そこにはやよいちゃんの努力の跡があったんだ。
 いつも綺麗で居心地の良い事務所にしてくれてた。

 一緒にドライブをしながら、たわいもない話をした時、真美ちゃんは時折、苦しげだった。
 双海亜美というアイドルを演じながらも、その中にいる双海真美を最大限に輝かそうとしている真美ちゃんの姿を感じた。
 私は真美だけど、双海亜美っていうアイドルを一生懸命にやってるよ。
 でも・・・私は真美なんだよ。

 邪魔しないように、迷惑をかけないように亜美や律っちゃんPに気を遣いながらも、溢れ出す真美としての存在を発信し続けていた。

 亜美は芸名なの。
 いつもは真美って呼ばれてるの。
 お願い、聞いて。


<私はここにいる!>


 オレには聞こえたじゃないか。
 2人からの確かな発信を。
 キラキラとしたオーラを。

 十分過ぎるほど感じ取る事が、オレには出来た。
 いや、感じ取らされたくらいに強い熱意と意欲、魅力がぶつかってきたんだ。

 言い切れる。
 オレは2人の、最初のファンだ。

 もし、オレに何か才能があるのだとしたら・・・。

 誰よりもアイドルを愛する事が出来る。
 誰よりもアイドルを信じる事が出来る。
 たぶん、それのみ。

 何がプロデューサーだ。
 名乗ってるだけだ。

 オレに出来ることをしようって決めたじゃないか。
 ずっとファンでい続けることを。


【P】
 「それしかないとしても・・・何もないより遙かにいいよな・・・」

【真美】
 「あ・・・」

【やよい】
 「ほら、ね♪」

【真美】
 「うん」

【P】
 「真美ちゃん、オレのやり方が正しいかどうかは分からない。でも、何かあったら必ずフォローする。失敗を怖がらないでいいんだよ」

【やよい】
 「そうだよ、真美ちゃん。私だっていっつも失敗ばかりだったけど、プロデューサーさんは一緒にがんばってくれたよ?」

【P】
 「真美として生きてきた事、亜美として体験した事、全ては双海真美の大切なメモリーだよね?」

【真美】
 「うん・・・」

【P】
 「隠したり、消去したりする必要なんてないんだよ。今の真美ちゃんの全てを作り上げている大事な要素なんだから」

【やよい】
 「穴あき靴下を履いて行っちゃった営業先でも、お座敷で歌う事になったらちゃんと助けてくれたれぅ♪」

【真美】
 「あ、穴あき靴下・・・」

【P】
 「ケフンケフン、そ、そんな事もあったね」


 はうっ。
 やよたん、それはここで話しちゃダメじゃん。
 せっかく、かっちょいい感じに話が進んでたのに・・・。
 真美たんはカンが鋭いんだから。

 おいらもおいらで靴下落下事件の切ないメモリーがフラッシュバックしてきましたよ。


【真美】
 「ありがとう・・・でもね・・・」

【やよい】
 「真美ちゃんの不安、私にも分かるよ」

【真美】
 「えっ!?」


 うおっ!?
 やよいちゃんには何か分かったようです。
 おいらにはさっぱりですが。
 ただ元気づけてもダメっぽいのはなんとなく真美ちゃんの様子を見ていると分かります。


【やよい】
 「私もね、お姉ちゃんだから」

【P】
 「え?」


 おお?
 んんん?

 何という事でしょう。
 匠は・・・じゃなくてやよたんが意外な事を言い出しました。


【やよい】
 「真美ちゃんにはプロデューサーさんの気持ちが伝わってるし、言ってる事もわかってるのです♪」

【P】
 「・・・」

【真美】
 「・・・」

【やよい】
 「でも、この不安は・・・ううん、心配は自分ではどうする事もできないものなんれぅ。ね、真美ちゃん?」


 ・・・あ!
 そっか!
 そういう事か!!


【P】
 「亜美の事が心配だったのか?」

【真美】
 「あ・・・うん・・・亜美と真美は生まれてからずっと一緒に過ごしてきたんだ。嬉しい事も悲しい事も分け合って」

【P】
 「それが、これからは別々の活動をしていく事になる・・・か」

【真美】
 「うん、分かってる・・・つもりだった。でも、いざデビューって言われて、すごく不安になっちゃった」


 姉妹ってのはそういうものなのかもしれないです。
 双海真美という個人で見てもらいたいって望みがある一方で、亜美ちゃんと共に過ごしてきた日々が嫌だったわけではなかったんでしょう。
 一人っ子のオレには、そこまで気が回りませんでした。


【やよい】
 「ねぇ、真美ちゃん」

【真美】
 「ん?」

【やよい】
 「これからは“やよまみ”だよ♪」

【真美】
 「ほえ?」

【やよい】
 「亜美真美じゃなくて、やよまみ。亜美ちゃんの代わりにはならないかもしれないけど・・・私じゃダメかな」

【真美】
 「やよいっち」

【やよい】
 「私、ある人に言われたのです。妹や弟達に幸せになって欲しいなら、遠くから見守る事も時には大切なんだって」

【真美】
 「見守る・・・」

【やよい】
 「それで、何かあった時に、本当に助けが必要な時に守れる力を持ちなさいって」


 この時は「ある人」ってのが誰かは分かりませんでした。
 今なら、たぶん春香さんなんだろうなあって思います。


【P】
 「真美ちゃんにやよいちゃんやオレがいるように、亜美ちゃんには律子さんもいるし、あずささんや伊織が付いてるよ」

【真美】
 「・・・そっか」

【P】
 「実はね・・・」


 社長から、「双海真美」のデビューについて許可をもらった日、まず最初に相談したのは律っちゃんPだったのです。


 ・・・


【P】
 「律子さんに頼みがあります」

【律子】
 「な、何よ、あらたまって?」

【P】
 「真美をソロデビューさせたいと思ってるんですよ」

【律子】
 「・・・親御さんの考えで、2人に負担をかけないようにって言われてるのよ?」

【P】
 「舞台に立って、スポットライトを浴びたことがないから分からないんですが・・・」

【律子】
 「なにが言いたいの?」

【P】
 「そんなオレでも思ったんですよ。頑張って練習した歌や台詞を舞台の横から見つめる気持ちってどんなんだろうって」

【律子】
 「・・・」

【P】
 「プロ意識があればあるほど、完璧に練習しますよね。出来て当たり前、こなせて当然。3分20秒の曲なら、何千回歌っても3分20秒キッカリに歌い終わる」

【律子】
 「・・・そうね」

【P】
 「どんな思いで見ているんでしょう、舞台袖で」

【律子】
 「・・・」

【P】
 「ただアイドルに憧れてる子ってだけなら、まだいいんです。同じ顔、同じ声、自分だけの魅力もある。それでも二人一役。彼女には充分な魅力があるんです。真美としての。バージョン違いだの仕様違いだの言われない、しっかりとした魅力が!」

【律子】
 「たしかにあの子には出番前に“亜美になってね”とは言ってるけど・・・」

【P】
 「立ち上げたばかりの573プロを支えてくれたのは律子さんと春香さんのコンビだったって聞きました」

【律子】
 「・・・社長ね・・・おしゃべりなんだから」

【P】
 「今、律子さんはプロデューサーをやってます。春香さんは今もステージで歌ってます。律子さんなら分かってくれると・・・」

【律子】
 「理解は出来ても親御さんの意向なら仕方ないでしょ?」

【P】
 「亜美と真美のご両親には社長が直接お願いすると言っていただけました。もちろん、オレも一緒に行って頭を下げてきます」

【律子】
 「ハア・・・そこまで決まっているのなら、私に許可を求める必要なんかないでしょう?」

【P】
 「亜美の事をお願いします。真美のプロデュースを本気でやります。だから亜美にまで気が回らなくなって、律子さんに負担がかかるかと思って・・・」

【律子】
 「ちょっと!」

【P】
 「はい・・・」

【律子】
 「私、年下だけどプロデューサーとしては先輩よ」

【P】
 「分かってます。お願いします! 彼女の輝きを消したくな・・・」

【律子】
 「ぜんぜん分かってないでしょ!!」

【P】
 「・・・」

【律子】
 「後輩はつまらない事に気を遣わないで、黙ってお願いしていればいいの」

【P】
 「へ?」

【律子】
 「ふふ、分かった?」

【P】
 「は、はい! ありがとうございます!」

【律子】
 「ま、伊織もあずささんも、なにかとおせっかいだから大丈夫よ」


 ・・・


【真美】
 「・・・兄ちゃん、そこまで考えてくれてたんだ」

【やよい】
 「うっうー、伊織ちゃんがついていてくれるなら心強いれぅ!」


 でこっぱちに対する、やよいちゃんの信頼度はもの凄く高いのです。
 家庭環境が違いすぎる2人だからこそ分かり合える部分があるのかもしれません。

 でこっぱちもやよいちゃんには心を開いているところが不思議なんですが、誰とでも仲良くなれるやよたんのスペシャルスキルかなんかかもしれないですね。


【P】
 「考えならまだあるよ」


 ルームミラー越しですが、2人が集中して聞いてくれているのが分かります。
 真美ちゃんも心配事が少し解消されたのでしょう。
 生命力の溢れる目を合わせてくれました。

 やよたんはいつものキラキラ〜♪ とした、ピュアかつ純真で疑うところのない瞳で見返してくれてます。(←ぜんぶ同じようなもん


【P】
 「やよいちゃん、真美ちゃん、雪歩さんでユニット組んでみようと考えているんだ」

【真美】
 「ユニット?」

【やよい】
 「3人で一緒に歌うって事れぅか?」

【P】
 「うん、冬本さんも時代は団体戦だって言ってたし、オレも3人なら充分にイケると思うんだ。成功してる人の良い部分は取り入れたいと思ってね」

【真美】
 「そうだね!」

【P】
 「うちの事務所では春香さんに次ぐファン数と知名度を誇る雪歩さんにリーダーをやってもらって、どんな状況も明るく変えてくれる溢れんばかりの元気さをやよいちゃん、しっかりした歌とキレのあるダンスを真美ちゃんに頑張ってもら・・・」

【やよい】
 「うっうー! 全部がんばります♪」

【P】
 「お、ノってきたね。1人の時よりもレッスン時間は増えるけど、3人だからキツい時でも孤独感はないと思うよ」

【真美】
 「私もがんばる! ね、やよいっち♪」

【やよい】
 「はいっ♪」


 2人がここまで手放しに賛成してくれるとは思いませんでした。
 それどころか、すぐにでもレッスンを始めたいって感じです。

 「やよまみ」じゃなくて「やよまゆ」になったねー♪
 とか何とか言いながら、手を取り合ってキャッキャとはしゃぐ2人をずっと見ていたい気持ちでいっぱいです!
 ほんとに見てると事故るのでガマンDEATH!


【P】
 「よーし、オレも含めて4人で再スタートだ!失敗は4分の1、成功は4倍を目指そう!!」


 大盛り上がりの車内で、挨拶回りが終わるのをちょうど見計らうかのように、春香さんから一通のメールが届きました。
 盗聴装置が仕掛けてあるかのようなタイミングでございます。
 半目ニヤリのハル閣下モードならやりかねないと思ってしまいますが・・・。


<今晩、MHKホールで歌番組の生放送があります。やよいちゃんを連れて見学に来ません?>


 プロデューサーとして少しだけ成長できたと思える、奇跡の夜へのお誘いでした。


次話に続く

2012/11/06 初版

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