「ふふふ、実に頭の悪そうな演説ですな」
山田さんが諦めきったような、呆れたような顔をしてゆっくり拍手をします。
いや、まあ分かってはいるんですけどね。
まとまってなくて、ただ伝えたいだけだと、“頭の頭痛が痛い”って感じのおバカな繰り返ししかできないんですよ。
「仕方ない、サンプルが1つから3つになるだけです」
「え?」
「傀儡兵っ! この2人を始末しろ!」
ええーっ!?
拍手してくれたじゃーん。
今や山田さんの隣に突っ立っている、元銀行強盗の傀儡兵。
呼びかけられたら、肩がぴくっと動きます。
「う…うぐるぅぅぅぅぅ…ぐうぅ」
白目のままだし、頭と腕のお肉がちょっと足りてない状態で動き出すから、恐さ倍増です。
服は血まみれだし…。
ほどよく腐った感じのゾンビ映画は、あくまでも映画の中だけのようです。
出来たては色鮮やかで動きも速そうなんですよ。
まずい!
これはかなりまずい状況になりました。
「う、う…んがあああああああっ!」
襲いかかってきたーーーー!!
「危ない、逃げて!」
むぎむぎが山田さんに叫びました。
え? え?
(15)に続く
2014/01/28 初版
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