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僕の彼女は戦国マニア (18)
P・鴨川 feat.ライターC

 取調室というよりも会議室のような大きな部屋に、僕とむぎむぎは立っていました。
 ここは地元の警察署です。
 もっとも、最寄りは駐在さんだったので、地元と言ってもかなり距離があります。

 時刻はうっすらと夜が明けてくる頃。

 僕達が隠し通路を出ると、近づいて来るパトカーと消防車のサイレンが聞こえてきて、助けられたのです。

 洋館は全焼、そしておそらくは4人の遺体が出たはずです。
 山田さん、その娘さん、駐在さん、銀行強盗の犯人の1人。
 普段は静かな田舎町で、これだけの大事件になれば取り調べも受けるというもの。

 僕達は病院で治療を受け、4時間ほどしてから警察署に護送されました。

 制服を着ている警察官からは事情聴取を受けませんでした。
 最初、狭い部屋に通されそうになったところを、スーツを着ている人がやって来て止めたのです。

 この会議室を借りるというなり、他の警察官を下がらせました。
 1人だけで手帳になにやら書き込みながら、3人で立ったまま、事情を聞かれたのです。

 刑事さんが質問してきて、後ろには制服警官が記録を取る。
 そんなテレビドラマを見てきた僕には意外でした。

「なるほどねぇ…それを全部、信じろってわけか?」

 刑事というより、兵士に近い体格をした男性がニヤけながら聞いてきました。
 どっかりと会議テーブルに腰を降ろして、タバコに火を点けます。
 おいしそうに煙を吐き出してから、タバコの先を僕達2人に向けて、眉を上げます。
 “吸う?”って感じで。

 僕はてっきり、むぎむぎがとても信じられない状況、つまり傀儡兵などについてを、伏せて話すものだと思いこんでいたので、全てをありのままに話したのは驚きでした。

 頭がおかしいと疑われそうな話ですよ!
 最悪、銀行強盗の仲間と思われるかも…。

 僕がでっちあげにならない程度に、非常識な部分を隠しながら説明しようとしていたのですが、目の前の刑事さんは聞いてくれませんでした。

 会議室に入るなり、ビニール袋に入った黒こげの拳銃を見せて、

「これは何だ?」

 と聞いてきたのです。

「それは駐在さんの…」
「ニューナンブM60。.38口径装弾、官用リボルバーで5連発。撃鉄直下にも弾は入っていたのか、5回発射されました」

 刑事さんは、しばらく僕とむぎむぎを見比べてから、ニヤリと笑い、

「そっちのお嬢さんが詳しく話してくれそうだな」

 と言うなり、僕が何を話そうとしても「黙ってろ」と取り合ってくれなかったのです。


(19)に続く

2014/03/25 初版

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