「これが真実だ。番記者にはこれを流す。民間人が知る情報こそが真実だ、いいな。
お前達はここにはいなかった。赤城山には来なかった。
事件に巻き込まれるわけもなかった」
「ええ!?」
「分かりました」
分かっちゃうんだ!
そうなんだ!
「どうしても話したくなったら、誰に話しても構わんがホラ吹き扱いされるのは覚悟しな。ネットでもいいぞ。小説風にして書き込めば、凡人共から妄想乙って言ってもらえる」
「ハハハ…」
「嬢ちゃんは先にこいつの車に行っててくれ。駐車場に停めてある」
「…」
「坊主、キーを渡してやりな」
「あ、はい」
僕が車のカギを持っているのに、どうして車を持ってこれたんだろう?
レッカー???
「ああ、そうだ。嬢ちゃん」
「なんでしょう」
「5連装じゃ撃鉄直下の弾は抜かないんだ」
「…」
「ラバー製のトリガーセーフティが支給されててな。引き金の裏に詰めときゃ引けなくなる。装弾数がただでも少ないのに4連発になったんじゃ可哀想だろ?」
「…失礼します」
うわぁ…なんかむぎむぎの雰囲気が変わっちゃいましたよ。
おしっこ覗いちゃやーよ? とか言ってるあたりまでは、可愛い女の子で、どこにでもいる美人大学講師だったのに。
「そ、それじゃ僕も…」
「待ちな」
(21)に続く
2014/04/22 初版
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