駅から住宅街へと伸びる細い車道は片道一車線で、車を運転していると少し大きめのトラックがすれ違おうものなら歩道にはみ出たり速度を落としたりと緊張させられる狭さだ。
私鉄と地下鉄2つの駅が最寄り駅、つまりどちらの駅からも離れている地域だが、びっしりと住宅が並んだ街並みは東京ならではといつも思わされる。
俺は数年前に都内から郊外へ引っ越したので余計にそう思うようになっていた。
カーナビが「東京都に入りました」と告げる度、突然、歩道を歩く人が増えて、空と道が狭くなり、交通量が倍加するような錯覚をする。
外国でもあまり変わりないので、これが首都というものなのだろうと思っている。
時刻は0時過ぎ。
視界から人の姿が消える事のない都内の住宅街であっても、この時間になるとさすがに人通りはまばらになる。
それは終電前なら常に賑わっているであろうコンビニでも同じ事だった。
4台分しかない駐車スペースに車を停めて店内に入ると、それでも数人の立ち読み客がいた。
ここは比較的、大きい店舗で、食料品と飲み物に注力しがちなコンビニには珍しく、雑貨の類や雑誌の種類も豊富だった。
23区内では駐車場のないコンビニも珍しくない。
それどころか店舗自体が学校の教室より狭いところがいくらでもあるのだ。
夜になると車に乗りたくなる俺としては、駐車場のあるコンビニはありがたかった。
俺はここでトイレを借りたり、パックのエスプレッソを買ったりして一息入れる事が多い。
あまりにも袋小路が多く、カーナビを作るキッカケになったというこのエリアは田んぼのあぜ道にそのままアスファルトを敷いたような印象があり、普通に走っていても気疲れするのだった。
(2)に続く
2018/01/09 初版
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