「何とも言えない話ですね…」
「本当にお供えされてると思う?」
「事実なんですよね?」
「事件があったのは何年も前よ。3年間で生徒は完全に入れ替わるでしょ」
「一年ずつのトコロテン式ですけどね」
「噂やラグ、謎のメールの話なんかは引き継がれるとして、ゲームの人気タイトルが花壇に置いてあったら、持ち去る生徒がいてもおかしくないでしょ」
まあ、どこにでもバチ当たりはいるものだ。
それに学校側はいつまでも野ざらしにはしないで、雨露をしのげるような屋根付きの囲いでも設置したのかもしれない。
「でしょ?」
「ええ」
「で、あなたの出番よ」
「は?」
「ニブイなあ…こうやってネットのオカルト話や噂はそんなにバカにしたものじゃないって分かったわよね?」
「ああ、それは納得しました」
「現場みなきゃ」
「はぁ…」
「礼堤学院の場所、知ってるでしょ?」
「いや、知らないですよ。学区が同じだったってだけで…」
「何の為のノートPCとポータブルナビよ」
「そりゃ調べれば一発ですけどね」
「じゃ、乗せてね」
「はあっ!?」
「あ、ひょっとして土足禁止? それとも女人禁制?」
おいおいおい…。
ヤン車じゃないし、甲子園のマウンドや土俵でもないから、どんな格好のどんな相手が乗ってもいいけど、これから行くのか?
「俺はこれから…」
「あ〜、なんだっけ? 駐車場でバナナ食べるんだっけ。それも付き合ってあげるから」
俺はチンパンジーかナニカかよ!
パーキングエリアでバナナオレだよ!
誰がバナナ丸かじりしてPAの空気感が好きとかぬかすんだよ。
「分かりましたよ。納得したら付き合うって約束もしましたしね」
「この時間に現場に行けるなんて初めてかも♪」
目を輝かせて店を出ていく彼女を見ながら、どういうわけか俺が二人分の会計を済ませた。
(19)に続く
2018/05/08 初版
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