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PAでバナナ・オレを (19)
大和武尊

 午前2時を過ぎた。
 元々、夜型だという葉月さんは目を爛々とさせて『さくおか』に最新情報を書き込んでいる。
 PAのフードコートにあるカウンターだ。

 結論から言おう。
 例の花壇の隅には灯籠があった。
 夜に猫避けか何かの為に照らすのか? と思う程度の大きさに質だ。
 だが、安っぽいガーデンアイテムではなかった。
 敷地内には入れないので、ギリギリ近くまで行って、分かったのだが完全な石造りだ。
 そして、問題は中だった。
 葉月さんと俺でライトを照らしながら、スマホのカメラ機能を限界までズームした結果、ぼんやりと中に“ヒトガタの何か”が見えた。
 それとつい先週出たばかりの人気ゲームが。

 彼女はお地蔵様ではないかと推測した。
 俺には何体か見えたような気がするので、ひょっとしたら自殺者が相次いだのかもしれない。
 学校は誰もが体験する閉鎖空間だ。
 誰かが大っぴらにしない限り、学校側はたいていのことを隠蔽できる。
 俺は実際にお供えがあったことよりも、全ての子供が通う組織に裏があることに戦慄した。
 だから、彼女が天ぷらうどんを食べて(こんな時間にがっつり食ってるからけしからんパイオツになるのだ!)、その後すぐに投稿したいと言った時に反対はしなかった。
 これを都市伝説だの、くだらないオカルト話だのと評されたとしても、何らかの真実に近づき、少し触れる事が出来たと思ったからだ。

 俺は電子タバコを吹かす為、彼女をフードコートに残して表に出た。
 そもそもの目的をまだ果たしていない。

 探し回った挙げ句、バナナ・オレの入っている紙コップの自販機に「故障中」の貼り紙があるのを見つけた。

「これもPAの醍醐味さ…」

 俺は夜空を見上げて、もう一服した。


「PAでバナナ・オレを」END

2018/05/15 初版

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