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学院騎士 サンガイオン (5)
大和武尊

プ・プ・ポーン♪ (カウントダウンのSE)

「たいへんだ〜〜!!」 (SE:どか〜〜ん、キャー! ウワー! 同時にBGMイン)

 スターTVが悪の組織に占拠された! (SE:ワー、キャー)
 突然、現れた謎の秘密結社ベルン。
 彼らの目的は一体なんなのか!?
 果たしてスターTVの、そして世界の運命は!? (SE:デッドリー総統の笑い声「ワハハハハハハハ (ラスト、エコーで)」)
 新番組『報道騎士ナガスンジャー』、明日から放送!
 第一回『正義の味方現る』乞うご期待!

「皆、幸楽苑で僕と握手っ!」 (スポンサー表示と同時にOPテーマカットイン)


 *


 夜中に起きた。
 妙な夢を見ていたようだ・・・。

 明日から放送なのに、幸楽苑で僕と握手?
 公開ショーなのか?
 しかもラーメン屋で?
 ヘンなの・・・。


 *


『君のナイト』 (番組予告ではサビの部分を使用)

  君こそがインスタント・ナイト!
  いつもは冴えない普通の人さ
  君こそがドキュメント・ナイト!
  忘れかけてた強い心
  全力疾走、僕らのヒーロー
  スーパー・スター・ナイト

  道ばたで泣いてる人がいても
  誰も声をかけない
  ふりかえる事もない
  助けを呼ぶ声は街の騒音にかき消されていくよ

  誰かが涙を流したとき
  声を殺してガマンする姿を見たとき
  そうさそうさ拳を固めて熱く燃えろ!

  君こそがインスタント・ナイト!
  いつもは冴えない普通の人さ
  君こそがドキュメント・ナイト!
  忘れかけてた強い心
  思い出したら僕らのヒーロー
  スーパー・スター・ナイト


 *


 明け方に起きた。
 不気味な夢を見ていた気がする・・・。

 新番組の主題歌か?
 夢の中に出てきた新番組の?
 ヘンなの・・・。


 *


 そこは薄暗い部屋だった。
 リノリウムの床、一面、銀色の壁。
 まるで宇宙船の中のようだった。
 誰かがディスプレイの前で話している。
 そいつはラヴクラフトが言うところの・・・

 ショッキングで不格好な黒い怪物で、油っぽくなめらかなクジラのような皮膚、
 内側すなわちお互い同士に向かって曲がっている不快な角、
 羽ばたいても音のしないコウモリのような翼、物をつかむのに適している醜い手、
 意味もなく嫌らしい感じで打ち付けるトゲのついた尾を持っている。
 そしてもっと悪いことには、彼らは話すこともなく、笑うこともなく、
 決してほほ笑むこともないのだ。
 彼らにはほほ笑むべき顔がないからであり、顔のあるべきところには・・・・・・。

 みたいな外見をしていた。
 どこからどう見ても「夜のゴーント」だが、銀色の宇宙服っぽい物を着ている。
 絶対零度の宇宙では奴らも寒いらしい。

「奴らの動きが慌ただしくなってきまシタ」

 ディスプレイの向こうにいる“誰か”は唸った。
 バイキングのような屈強な男だった。
 たいていの場合、もし、はっきりと見てしまうと大変なことになるのだと、
 なんとなく理解できた。
 そう、例えて言うならSANチェックに失敗した後で、アイデアロールに成功してしまうと1d100の正気度を失うような・・・。
 アイデアロールはひらめきみたいなもので、正気を失うような相手や事物を見てしまったあとで、それを正確に認識してしまうのだ。
 何でそんな事を理解したのかは分からなかったが、外なる神々の中でも友好的な種族は直視したところで正気度の喪失はないということも、どういうわけか分かった。
 謎だ。

「慢性的な人手不足は分かっておロウ?」
「ハイ・・・」
「銀河刑事の適正を持った生物は相当数に上ル」
「心得ておりマス。つい先日も正義感の強いカタツムリに協力を要請しまシタガ・・・」
「踏みつぶされてしまったではなイカ」
「大きな誤算でシタ」

 真っ黒で顔がない奴は、ディスプレイの向こうに頭を下げた。
 海底にあるという噂の鬼岩キャッスルのこれまた最深部で高笑いしていそうな巨大バイキングが唸る。
 そう、ハワードでフィリップな感じに言うところの・・・

 イルカの背に縁がギザギザになった巨大な貝殻が載っており、
 その中に大いなる深淵の大帝ノーデンスの灰色の恐ろしい姿があった・・・・・・

 みたいな感じである。
 思い切り名前が出ているのに、「みたいな感じ」もないものだが、まあ、だいたいそんなところだ。
 これは夢なんだから仕方がない。

「成人した人間ではなかなか協力要請に応じてもらえないのデス」
「ふむ・・・何故か?」
「20歳越えて、ジャンパーを腕まくりして指だしグローブは恥ずかしいとよく言われマス・・・」
「そんな問題があったノカ・・・」
「ライダーブーツにデニムの裾を入れるのも、女性はともかく男性には勇気がいるのだトカ・・・」
「十分にイケてると思ったのダガ・・・」
「フットボーラー並に肩パットが入っているジャケットについても一言、言われまシタ」
「何と言われたノダ」
「“80年代かっ”だそうデス」
「全て変身前の話ではなイカ! 好きなものを着させればよかロウ」
「ソレガ・・・」
「まだ何かあるノカ?」
「変身する正義の味方とはそういうものだという共通認識があるらしいのデス」
「・・・」


 *


 目覚ましが鳴る前まで夢を見ていたようだ。
 あいつらは何の話しをしていたんだろう?
 宇宙刑事?
 協力要請?
 ヘンなの・・・。


(6)に続く

2012/04/17 初版

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