ズバゥウゥウウン!
「おそろしく遠くに墜落してございます」
「・・・」
「お嬢様、お怪我は?」
「ありがとう、蘇我さん。私は大丈夫です」
「山本様のおかげですな」
「ねぇ、蘇我さん・・・」
「はい、お嬢様」
「タケルくんは小さい頃から変身するヒーローに憧れていたの」
「はい。わたくしもたまに怪人役を仰せつかりました」
「私達を助けてくれたのはサンガイオンさんよ」
「え? ・・・ああ、はい。かしこまりました」
「ごめんなさい、蘇我さん」
「いえ、とてもよろしゅうございますな。わたくし、年甲斐もなくワクワク致します。サンガイオン様はどなたなんでございましょう」
「ふふふ、そうね。どなたかは知らないけれど・・・きっと素敵な方よ」
「はい、お嬢様」
*
「おーーーい」
ハアハア、ぜえぜえ。
やっと2人が見えてきた。
5、6キロは走った気がする。
ヘソ出しルックの制服で。
落っこちても怪我ひとつしなかったけど、変身を解く合い言葉を「セット解除」に指定登録して、ゴントにそれを知らせて、どっかのオエライさんがそれを受理して、そのあとでやっと生身に戻れた。
落ちたのが川で良かったよ。
誰かの家だったりしたら、バラバラになってたんじゃないだろうか。
ふうふう・・・く、車も無事なようだな。
「あ、タケルくん!」
「山本様、ご無事で」
2人は元気そうだ。
蘇我さんの額と頬がちょっと腫れてるかな。
でも大事には至らないだろう。
本当に良かった。
「2人とも大丈夫だった? 奴らに殴られて遠くまで飛ばされてね。まいったよ」
静ちゃんと蘇我さんは顔を見合わせて微妙な顔をしたが、すぐに笑顔でオレの心配をしてくれた。
ほっ・・・。
バレてないようだ。
オレはちょっとカッコワルイけど、いいんだ。
正義の味方は・・・変身ヒーローってのはそういうものだし。
スーパーメンの頃からの伝統芸だしね。
「山本様、大丈夫でございますか? さぞや痛かったでありましょう」
「タケルくん、私達はサンガイオンという方が助けてくれたのよ」
「サンガイオン? 知らないなあ・・・でも、助けてもらえてヨカッタネ」
*
こうして、学院騎士サンガイオンは悪の野望を1つ阻止した。
ク・リトル・リトル学院の魔の手はすぐに世界へと広がるだろう。
がんばれ、山本タケル!
負けるな、サンガイオン!
そうそう、サンガイオンが誰かはキミも秘密にしておくんだゾ!
「学院騎士 サンガイオン」終わり
2013/02/26 初版
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