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僕の彼女は戦国マニア (12)
P・鴨川 feat.ライターC

「山田さん、どうして?」

 あ。
 むぎむぎが先に出ていってしまいました。

 髪は乱れ、幾分、三白眼になっている山田さんは、台所の包丁で拳銃とベルトを切り離しています。

「とんだジャマが入ったが…ようやく全てが揃いましたよ。君達、いや塚原先生には感謝していますよ」

 お、オイラは塚原先生を連れてきたのに…。
 むぎむぎ、何とか言ってやっておくれよ。

「山田さん、話を聞かせてもらっていいですか?」

 あ、無視ですか。
 そうですか。

「もちろんです。塚原先生は秘法を教えて下さった張本人ですからなぁ」

 山田さんはまだ銃口から煙りが出ている拳銃を下に向けて、語り始めました。

「最愛の娘を難病で亡くしてから、私は彼女を蘇らせる事を人生の目的としてきたのです。
 何もかもを投げ打って!
 分かりますか、この悲しみが。微笑まれるだけで幸せだった相手が、動かなくなった時の気持ちがっ!
 私は全てを費やした。
 そして、妖しげな術や書物を読み漁るうちに、明治時代にこの洋館によって行われていた実験を知ったのです。
 全財産を叩き、この洋館を買取り、資料も集めた。古文書、必要な材料、海外から魔導書も取り寄せた。
 手段など選びませんでしたよ。
 しかし、どのように使うのかがわからなかった! こんなにいまいましい事はないっ!!」

 山田さんは興奮気味に怒鳴り始めています。
 銃を振り回して話している人が目の前にいるというのは、生きた心地がしません。

 むぎむぎ、そろそろ、そ〜っとおいとましませんか。
 これ以上はオイラ達も危ない気が…。

「あの冷凍庫の中身は…もしかして」

 あ、聞いてないんだね。
 まだお話しするんだね。

「私の娘だよ。冷凍庫じゃない、氷の部屋だ!」
「…」
「私は娘が生き返るのなら何でもすると誓ったのだ!!」
「気持ちは分かります」
「ふうふう、分かってくれますか…ふふふ。それでは手伝って…」
「無理です。死者が再び甦る事などあり得ません」

 ちょ! おまっ!!
 山田さんの今までを全否定って!


(13)に続く

2014/01/01 初版

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